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 総  論

1.外国人患者に対応するときの基本的な留意点

 

(1)偏見を持たないこと 

 

 外国人は確かに日本人と違うところが多々ありますが、まず、同じ人間であるという意識を持ち、偏見を排除することが重要です。よくある偏見は「途上国の出身者は教育水準が低い」、「肌の色が黒い人、あるいは浅黒い人は社会的地位が低い」、「外国人は犯罪に手を染めている可能性がある」、「外国人は日本のルールや習慣を守らない」、「何人も集まって気味が悪い」といったものです。

 人間誰でも知らず知らずのうちに偏見をいだくものですから、いつも自分の心に「偏見は芽生えていないか」を自問自答するとよいでしょう。そして、しりごみしないこと、冷たくしないことに心がけてください。

 ただし、日本人と同じになればよい、という考え方は禁物です。(第2章(3)参照)

 

(2)不安をいっぱいかかえていることに気づくこと 

 

 外国人は、異国に暮らしていることでまず不安をかかえています。その上で、病気やけがになったときの不安、医療機関を訪れたときの「白い世界」に対する不安がかぶさっています。さらに後述するように言葉の不安、医療事情や文化の違いによる不安があります。日本人であれば、両親や親族からアドバイスをもらったりして何某かの安心を得られますが、外国人は日本国内にそうしたリソースを持ち合わせない人が多くいます。そこで、こうした何重もの不安に気づき、何かと心配りをしてあげたいものです。人によっては、こうした不安のためにぎりぎりまで医療機関に行くのをためらって重症化してから訪れるというケースもありますが、「なぜもっと早く来ないのか」としかるよりも、温かい姿勢で接したいものです。

 ただ、外国人は弱者であるという見方は一方的かもしれません。自立の力を備えた一人の人間であるという見方も同時に必要でしょう。

 病棟などの声かけでは、下記のような母国語で簡単なあいさつを試みてはどうでしょうか。発音やイントネーションは外国人患者さんに直してもらえばよいのです。

 

[簡単なあいさつの例]

● コリア語

  おはよう・こんにちは・こんばんは    アンニョン・ハセヨ?

  ありがとう     カムサ・ハムニダ

  元気ですか?   コンガン・ハセヨ?

● 中国語

  こんにちは      ニー・ハオ
  ありがとう      シェ・シェ

  元気ですか?    チン・クァン・ル・ヘェ?

● スペイン語

  おはよう   ブエノス・ディアス   こんにちは(「ハロー」に相当)   オラ

  (こんにちは ブエノス・タル・デス   こんばんは ブエナス・ノチェス)

  ありがとう      グラシアス

  元気ですか?      コモ・エスタ・ウステ?(または、「ケタル?」)

● ポルトガル語

  おはよう      ボン・ジア(ブラジル)

  ありがとう    オブリガード(男)  オブリガーダ(女)  

  元気ですか?  コモ・エスタ?


(3)3つの壁があること 

  外国人患者は、「言葉の違い」、「医療事情や文化の違い」、「生活背景の違い」という3つの壁があります。それぞれの内容については、後で述べますが、まず、日本人と違って、乗り越えるのがなかなか難しい「壁」があるということを念頭に置いておく必要があります。