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 総  論

11.医療機関の書類(入院説明書や手術同意書など)を翻訳するときの注意

 

(1)外国人患者さんは日本語の読み書きが難しい 

 

 在住外国人は、何年日本に暮らしていても日本語は難しいといいます。中でも文章の読み書きは苦手な人が多いようで、日常会話が流ちょうな人でも、かなり苦労しています。特に漢字は読み方と意味の2つを覚える必要があり、辞書もその読み方がわからないと引けないので、たいへんだという話しを聞きます。

 健康なときでさえ苦労する日本語文章ですから、病気やけがのときはなおさらたいへんでしょう。医療機関側も提示した書類を外国人患者さんが確実に理解したか確認する必要があります。書いてもらう場合は、ある程度時間がかかることを想定しておいたほうがよいでしょう。

 

(2)文書を翻訳する場合の注意点 

 

 日本語の読み書きが苦手な外国人患者さんには、書類を翻訳したものを見てもらえば、より円滑に診療が進みます。ただ、翻訳版の作成にあたっては、いくつか注意すべき点があります。

 

 a. 翻訳する言語の選定

 翻訳は、どの言語で行ったらよいでしょうか。英語は世界に通じる言語ですから、英語圏以外の患者さんにも有用な場合があります。そのほか、よく来院する患者さんの母国語を選定することが必要と思われます。ただし、在日韓国・朝鮮の方の多くは日本語が第一言語であって翻訳版を必要としていません。ちなみに、愛知県全体ですと、ポルトガル語、中国語、タガログ語、スペイン語、韓国語といったところが上位にくると思われます。

 

 b. 翻訳料金の目安

 翻訳料金は、1言語につき、1ページいくらという算定をします。1ページの中にどのくらい字数があるかも料金に関係してきます。また、英語以外の言語は、英語よりも翻訳人材が少ないので割高に料金設定されている場合もあります。大ざっぱな目安としては、A4判1ページ(800字程度)で英語が7,000円前後かそれ以上で、中国語やポルトガル語、タガログ語、韓国語が英語の2割り増しといったところでしょうか。

 

 c. 翻訳会社への発注上の注意点

 翻訳の発注に当たっては、医療のことが良くわかっている会社や団体を選ぶとよいでしょう。そして、発注したらしっぱなしではなく、日本語文章の意味や解釈を十分に相手方に伝える必要があります。医療機関側としては「この文章は当然、こういう意味だ」と思っていても、受注者や翻訳者は違う意味にとってしまうことが、たまにあります。

 翻訳版の書類は、翻訳文章と日本語文章を併記した形につくるとよいでしょう。何が書いてあるか医療機関側と外国人患者さん側の両方が理解できます。なお、日本語文の漢字にはかなを振ってください。

 また、翻訳作業は、翻訳言語が母語の人と日本人翻訳者のペアで行うよう指示することをおすすめします。対象言語が母語の人は母語の表現は得意ですが日本語の解釈が苦手ですから、日本人翻訳者と力を合わせて、相互にチェックしながら作業を進めてもらいます。

 

(3)署名を要する書類は日本語版に署名をしてもらうこと 

 

 患者さんの同意を求め、署名をしてもらうような書類は、翻訳版に「見本」や「参考手引き」といった表示をしておき、署名は日本語書類のほうにしてもらってください。翻訳版の書類に署名をもらうようにしておくと、その外国語文章について外国人患者さんが万一違った意味に解釈をしてしまった場合、その言語が理解できない以上、その場で訂正のしようもなく、あとで「知らなかった」とか「そういう意味で署名したのではない」などという混乱が生じ、場合によっては訴訟に発展しかねません。