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 総  論

15.医療通訳者のより良い受け入れ方 

 

(1)通訳する上で通訳者へ若干の協力を 

 

 外国人患者さんに医療通訳者がつけば、確実に患者さんとの意思疎通ははかどります。その上で、次のような医療従事者の方々のちょっとした協力があれば、さらにより正確で、より効率的で、患者さんにとってより安心なコミュニケーションが可能になります。

 

 a. 通訳者の位置に配慮すること

 診察室の中で医療通訳者は、通常、患者さんのななめ後ろか、真横、あるいは、ななめ前に位置取りをします。これは、「主役」である患者さんが話しやすいような配慮からなされているもので、医師の横や後ろで通訳することはないことを了解しておく必要があります。

 

 b. 通訳しやすい話し方で話すこと

 医療通訳では、正確性を期すために逐次通訳で行います。同時通訳では行いません。したがって、医療従事者の方々には、会話は短く区切って、通訳できる「間」を確保することが求められます。医療通訳者が医療従事者の発した言葉を確実に把握するために、いちいち確認することもありますが、面倒がらずにチェックをお願いします。

 そのほか、難しい説明や重要な会話は特にゆっくり、わかりやすい言葉で話すと格段に通訳しやすくなります。また、会話の展開も順序立てて論理的に進むと、次にどんなフレーズが登場するか通訳者にも予想がついて、通訳しやすくなります。

 

 c. 通訳時間をせかせないこと

 診療時間は、通訳が入ることによって通常の日本人の患者さんの2倍以上の時間がかかります。と言って通訳無しで、日本語が十分でない患者さんを診察しますと、その場も行きつ戻りつしますし、確定診断がなかなか下せないことにもなりかねず、さらに何倍もの時間がかかることになります。したがって、通訳が入ったときには、「時間がない」、「忙しい」とプレッシャーをかけずに、より正確な通訳を求めるような態度で臨む必要があります。

 もし、医療用語が訳せないようであれば、時間はかかっても辞書を引くように指示するとよいでしょう。医療通訳のトレーニングを受けた通訳者であれば、辞書引きとメモ取りは基本であると承知していますので、必ず辞書と筆記用具は持参していると思います。

 

(2)外国人患者さんへ温かいまなざしを 

 

 医療通訳者にとって医療従事者の方々の外国人患者さんに対する冷たい目線や厳しい態度は、緊張とストレスを高め、通訳業務への負担となり、通訳の質に微妙に影響します。意思疎通をより確実にするためには、外国人患者さんへ温かいまなざしを欠かさないようにすることが大切といえます。

 

(3)通訳業務以外の雑用を依頼しないこと 

 

 医療通訳者は通訳業務のために医療機関に赴いていますが、医療従事者の方々からは家族や友人・知人、付添人などと同一視され、売店での買い物や家族への連絡などを頼まれるケースがあります。医療従事者と通訳者との力関係や患者さんの手前を考えると、なかなかその場で「通訳として来ているので雑用はやらない」と言って断れないところでしょう。医療通訳者は自らの通訳業務にプライドを持っていますし、より質の高い通訳を目指して事前勉強をし、その成果を出すために集中しようとしています。そうした中で通訳業務以外の雑用を頼まれるのは、モチベーションが低下し、プライドが傷つけられます。医療従事者の方々には、通訳業務の高度なスキルを認識していただき、うっかり雑用を依頼しないように配慮をお願いしたいところです。