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 総  論

16.医療通訳者の倫理・医療用語知識・受講した養成講座の内容 

 

 (1)医療通訳者の倫理基準 

 

 医療従事者にそれぞれ倫理規定があるように、通訳者にも同様の規定があります。トレーニングを受けた医療通訳者であれば、そうした「倫理」を十分に承知しています。文章化されたものとしては、全国の医療通訳者によって作成された「医療通訳共通基準 (*)」(201010)の中にある「倫理項目」や、ほぼ同様の内容で医療通訳士協議会が制定した「医療通訳倫理規定」があります。ここでは、前者の主な内容を紹介します。医療通訳者がどのような「倫理」に基づいて行動しているかがわかると思います。

(* http://sites.google.com/site/the3rdnationalconference/home/standard


 a. 守秘義務

 職務上知り得た患者情報等の秘密の保持

 b. 中立・客観性

 通訳の業務範囲を守り、利用者に対して自らの意見をさしはさんだり、助言したりしないこと、  通訳に自分の価値観や主観を混ぜないこと

 c. 正確性

 通訳は、忠実かつ正確に行うとともに、患者等の背景や文化について考慮すること、自らの専門能力を自覚し、それを超える通訳業務となる場合は、その旨、利用者に申し出ること

 d. 信頼関係の構築

 通訳者は利用者を尊重し,利用者が話しやすい態度を保つこと、相手を思いやる気持ちを持つこと

 e. 利用者との私的な関係の回避

 利用者と個人的な関係を構築しないこと、その立場を利用して利用者から個人的な恩恵を受けないこと

 

 (2)医療通訳者の医療用語知識 

 

 トレーニングを受けた医療通訳者は、どの程度の医療用語知識を持っているのでしょうか。医療従事者の方々は、それを知ることによって現場で交わす会話レベルの下限と上限(易し過ぎず・難し過ぎず)の予測が可能になるのではないでしょうか。それが結果として効率的な診療にもつながります。

 医療通訳者の医療用語知識は、医療従事者並みの専門用語知識までは求められていません。少し病気や身体の仕組みに詳しい一般の人のレベルと思ってください。具体的には、中学高校で習う身体器官の名称・機能や、新聞・テレビ、日常会話の中で登場する病気などに関する知識を持っています。たとえば、2、3年程度の経験を持つ医療通訳者であれば、以下のような用語はスムーズに通訳できると思われます。

 
 a. 身体器官 心臓、胆嚢、脾臓、延髄、水晶体、扁桃腺、頸椎、子宮、脊椎など

 b. 病名   白血病、脳梗塞、肝炎、虫垂炎、直腸がん、中耳炎、狭心症、合併症など

 c. 診療科名 主要診療科すべて

 d. 症状   寒気、腫れ、膿む、動悸、下痢、発作、嘔吐、めまい、下血、妊娠など

 e. 治療用語 切除、全身麻酔、摘出、点滴、服薬、処方、抗生物質、錠剤、帝王切開など

 f. 検査法  血液検査、尿検査、心電図、CT、超音波検査、内視鏡検査、喀痰検査など

 

 (3)愛知県医療通訳養成講座の内容 

 

 医療通訳者は、次の項目について学習した上で、医療通訳を行っています。愛知県の養成講座のプログラムは、上述の@の「医療通訳共通基準」を参考にして作成されたものです。

 

a.  知識・倫理(18時間)

 @) 患者背景・多文化に関する知識・理解

・外国人患者等を取り巻く生活状況、在留資格制度、各種支援機関・団体など患者等をサポートする機関の情報に関する知識

・患者等の出身国・地域の宗教、習慣、価値観の違いに関する知識・理解と医療制度・医療実践スタイル(日本との違い)に関する知識・理解

 

 A) 所属団体、支援機関に関する知識

・あいち医療通訳システムの使命、組織構成、活動内容に関する知識

・医療通訳派遣の制度・事業の内容、派遣ルール、医療通訳者サポート機能に関する知識

・医療通訳に関する全国的な取り組みの現状と課題のアウトライン

 

 B) 医療に関する知識

・身体器官のしくみに関する知識

・基礎的な病気とその症状に関する用語(問診で使用される程度)の知識

・主な検査方法に関する基礎知識

・主な治療方法に関する基礎知識

・メンタルヘルスに関する基礎知識

・感染症対策、予防接種などに関する基礎知識

・主な投薬・服薬方法に関する基礎知識

・受付、診察、検査、治療、会計、薬処方など受診の流れに沿った患者等の動きに関する知識

・医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなど医療従事者の種類と役割に関する知識

・各種健康保険制度、出産一時金、公費負担制度、海外旅行傷害保険などに関する知識

 

 C) 倫理

・医療通訳としての心構えとして、「医療通訳共通基準」に謳われている倫理基準の知識

・病気のときの人間の心理に関する基礎知識

・対人援助スキルの基礎知識

 

 b. 技術(18時間)

 @) 語学力、通訳の基礎技術

 A) 模擬の医療通訳(ロールプレイ)による実践的な通訳技術

 B) コミュニケーション・スキルの基礎、状況判断力

 

 c. 現場研修(6時間)